酒が美味しく飲めるには

昔の酒飲みは「空き腹がうまい」といって空酒を好んだ。摘むといってもせいぜい塩辛をなめる程度。
今の酒徒はワインの影響か、ザクザクッと食べてしまう。
私は「空酒派」ではなく適当な肴があればうれしいが、酒博士 佐藤 信は「酒を楽しむ本」(講談社)のなかで次のように言っている。

【食べてから飲むのは愚の骨頂、食べながら飲むこと】
「食べてから飲むと酔わないから、食事してから宴席に臨むとよい」という人がある。
しかし、原則として[食事後の酒は避ける]べきである。
まず第一に、美味しくない。何のためにまずい酒を飲むのか、その意味がわからない。
第二に、相当量飲んでも血中濃度が高まらないために酔わない。一定の濃度に達して、いい気持になった頃にはかなり飲み過ぎていることになる。
吸収が遅れていかに長時間かかろうとも、飲んだだけのアルコールは全て吸収されてしまうことを忘れてはいけない。食事後の酒は、往々にして二日酔いの原因になる。
もし、いかなる些細な失策も許されないほど重要な宴会に出席するのであれば、宴会の一時間か一時間半前に、消化の良い食物をごく軽くとって置くことをすすめよう。
食べることのもう一つの効果は、栄養のバランスをとることである。大酒をすると肝臓を害し肝硬変になると信じている人が多い。なるほど肝硬変に大酒家が多いというデータはたくさんある。
しかしながら、詳細な検討の結果、酒そのものは肝硬変に直接な影響をもたないことがわかっている。いずれの場合もたんぱく質およびビタミンなどの不足が原因であることが明らかにされたのである。    (中略)

ビタミンB12が豊富な食物にはレバーがある。また、大酒家に多い多発性神経炎もビタミンB1不足の結果であることが明らかにされており、アルコールの多飲が肝臓内からビタミンAを追い出すことも明らかにされている。
また、たんぱく質やアミノ酸がアルコールの酸化を促進するとも考えられる。
酒のつまみは、酒を美味しく飲むために必要なものと理解されているが、現代人は、[つまみは栄養のバランスをとるため]に必要なものと理解すべきである。

 

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