いざ上手に召しませ

ワインの影響か[摘まみながら]ではなく[食べながら]飲む人が増えた。「清酒は空腹に限るべき」などというと横目で見られそうだが酒が旨くない。梅干一つでガンガンやる酒豪は措いといて、自分より年長の酒呑み連は、杯一杯ほどの珍味で飲み通してた。鮨屋での一杯もそうだろう。まず小鉢ものや造りで飲んでから、〆に握ってもらうのがセオリー。酒博士「佐藤信」は著書の中で「満腹ではたくさん飲んでも血中濃度が高まらないから酔わない。一定の濃度に達していい気持ちになった頃はかなり飲みすぎている。吸収がいかに長時間かかろうとも、飲んだだけのアルコールはすべて吸収されてしまう。食事後の酒は往々にして二日酔いの原因になる」

美味しく飲むための第二。濃い酒は薄めて飲む。濃いアルコールが慢性胃炎、胃潰瘍を誘発する 。薄めるのに抵抗がある場合は水を飲み胃で薄めることだ。

第三は飲む時間をきめる。一日のうちで一定時間だけ飲むように努力しない人は、ほとんど二十四時間中アルコールが血中から消滅しないということになり、アルコールの慢性中毒(依存症)におかされる危険がある。
第四は飲む量をきめる。酒飲みを自任する人ならば、どれほど飲めばどういう結果を招来するかを知っている必要がある。
以上は佐藤信氏の著作からである。一~三までは注意しているが、四は往々にして脱線する。検診で「中性脂肪」を指摘されハンセイしているが、病院を出ると忘れる。「上手に飲め」はオコガマシイ。

酒を楽しむ本 佐藤 信 講談社ブルーバックス