婦人の言うことを聴いてはならぬ(劉伶)

晋の劉伶、字は伯倫。二日酔いで迎え酒が飲みたくてたまらず、妻に酒を求めると、妻は酒を捨て、器具をこぼち(漢字不明、意味は一部分が欠けたりして、本来の働きが失われる)泣いて諌めていう。「君(あなた)は余りお酒が過ぎます、攝生の道ではありません。きっぱりと御酒をお断ちなさいませ」と。伶がいう「それは甚だ善いことだ。だが我(わし)は自分の力で禁酒はできない。唯だ神に祈り、自ら誓って断つより外はない。だから酒と肉とを備(ととの)えてくれ」と。妻がいう「では仰しやる通りにいたします」と、酒と肉を神前に供えて、伶に誓いを立てることを請うた。すると伶はひざまついて祈っていう「天は劉伶を生み、酒を以て名を出して、一度に一斛(コク)を飲み、五斗(ト)を迎え酒とさせて下さるのだ。婦人(おんな)の言うことなど、ゆめゆめ聴いてはならぬ」と。そこで酒を飲み肉を食い、大威張りで酔ってしまった。

青木正児 酒中趣 筑摩叢書

注)斛(180L)と斗(18L)=我が国ではその1/10に相当。

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