うまさけは

香りや味のバランスが崩れた酒を「良い」といったり、誉めちぎる話を聞くとつい口を出したくなる。

案の定、試してガッカリの多いこと。提供する方には申し訳ないが、一杯どころか一口も続かない。うんちくが多い酒ほどそうだからビックリだ。

個人的な好みでいう旨さ美味しさは自由だが、品質の「良し・悪し」というモノサシは客観判断が必要だ。

しかし、私には判断材料を示す能力がないので、専門書等を参考にしてもらうこととし、酒の大家「坂口謹一郎」の歌を変わりとする。

「うまさけはうましともなく飲むうちに酔ひての後も口のさやけき」

さらに藤本義一「洋酒こぼれ話」からも坂口博士を引用する。(文春文庫)

「ビールのほうは、まるで水を飲むような感じで、いくらでも喉(のど)を通過する。私は、平素自己流の酒の鑑定の秘訣としているのは、ただ何のさわりもなくスルスルと水のように飲めるものを良酒とすることで、うまいと感じたり、濃いと感じたりするのは必ず駄酒である」

ビールに限らず全ての酒に当てはまるだろうし、良酒を飲み続ける諸氏は頷いたことだろう。つい一杯又一杯と日本酒を重ねてしまう私。片や一杯毎にワイン、ウイスキーと次の酒に移る人達。時間をかけて美味しさを知ってきたが、若い方々もそういう時間をかけるだろうか。宴会を避けたり酒を飲まないという若者。飲酒量の低下は世界的だと。ボヤキが広がった。